前回は乾燥剤の種類についてお話ししました。どのタイプの乾燥剤であっても、乾燥剤の乾燥能力には限界があります。使用方法を間違うと、期待していた効果が得られないばかりか、逆効果となることもあります。
今回から何回かに分けて、乾燥剤の使い方や注意点に関して簡単にお話ししようと思います。ご存じの方にとっては、あたりまえのことかもしれませが、ゆっくりとお付き合いいただけますように、よろしくお願いします。
まずは一番目です
1.濡れたものの乾燥に使用しない
乾燥剤なのに矛盾していると思われるかもしれません。よく、乾燥剤製品のデモンストレーションなどで見られるのですが、びしょ濡れの衣類とか靴を乾燥剤と組み合わせて乾かすシーンがあります。あれはお勧めできない使用方法なのです。なぜならば、乾燥剤には乾燥能力の限界があるからです。
代表的乾燥剤のシリカゲルを例にするならば
お菓子などに使用されるシリカゲル乾燥剤
一般的には空気の湿度を下げる効果が高いタイプが使われます。その水分を吸着する能力はシリカゲル1gあたり0.3~0.5g程度。お菓子に入っている透明な袋に入った商品は1~5g程度の内容量のものがよく使用されています。靴の場合を例に挙げます。例えばスニーカーが雨などでしっかり濡れてしまった場合、1足あたりに500gくらいの水が含まれていると想定すれば、必要なシリカゲルは実に1kg以上。お菓子に入っているシリカゲル乾燥剤が数百から千個程度必要な計算になります。
では、靴用や衣類保管用に推奨されるているシリカゲル乾燥剤なら?
お菓子に使用されるシリカゲルより湿度を下げる効果は下がりますが、その分より多くの水分を吸着できる特性を持っています。シリカゲル1gあたりで、0.7~1gの水分吸着能力といったところでしょうか。シートタイプの商品でシート1枚あたりのシリカゲル内容量は数十g。靴用のものでも1足あたり2~300gの内容量といったところが一般的だと思います。もちろん製品ごとに内容量に差はありますし、スニーカーの布量や大きさも様々ではあります。いずれにしても計算上は製品1個で、完全に濡れてしまったスニーカーを乾燥できるだけの能力が無い可能性があります。無理にそのまま使用すれば水分を取り除くことができず、カビやにおいや変色を起こす原因にもなります。
ではどうすべきか…
乾燥剤は意味がないのか?
そうではありません。
濡れたスニーカー、もちろん衣類も同様ですが
まずは、風通しの良い場所で良く干してください。よく乾かしたつもりでも繊維の奥や、狭い場所の水分は残ることが多いです。そこで初めて乾燥剤の出番です。実は残った水分は少量でも保管の際に悪さをします。カビやにおいや変色の原因にもなります。保管や収納の際に乾燥剤を組み合わせるだけで、そのようなトラブル防止に効果が期待できます。上手に乾燥剤を使用しましょう。
次回も、乾燥剤の使い方や注意点に関して続きをお話しします。
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